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ロラゼパム(商品名:ワイパックス)とは

ロラゼパム(商品名:ワイパックス)とは

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ロラゼパム(商品名:ワイパックス)とは

ロラゼパムは、不安を強く感じる方やうつ症状がある方に使用され、1970年の販売から今現在も使用されているお薬です。商品名はワイパックス、もしくはジェネリック医薬品の場合はロラゼパムと名前につきます(以下、ロラゼパムという名前で統一します)。

ロラゼパムはベンゾジアゼピン系という種類のお薬で、ベンゾジアゼピン系には他にも多くのお薬があります。それらは似た構造をしているため同様の作用を有しますが、効果の持続時間や強弱が異なります。心が不安定になると脳の活動が活発になり、不安を強く感じたり眠りにくくなったりします。また、筋肉が緊張して強張ったり心身症といって心が原因で血圧が上がったり、胃・十二指腸潰瘍を起こすこともあります。ベンゾジアゼピン系は脳の活動を弱めることにより、抗不安や催眠作用、筋弛緩作用(筋肉の強張りをほぐす)を有します。

ロラゼパムに限らず、ベンゾジアゼピン系全般にみられる副作用として長期間お薬を使用することで依存性が認められることがあります。また、いきなり服用を止めてしまうと不安などの精神症状や血圧上昇や胃・十二指腸潰瘍などの身体症状が一気に悪化する離脱症状が発現する可能性があるため、医師・薬剤師の指示通りに服用することが重要です。

ロラゼパムの作用について

ロラゼパムは、心が原因で通常以上に活動している脳の働きを抑えることにより抗不安作用や催眠作用、筋弛緩作用(筋肉の強張りをほぐす)を有します。そして、ベンゾジアゼピン系の中でロラゼパムは抗不安作用が強く、催眠作用は中程度、筋弛緩作用は弱いとされます。一般的に服用後2時間以内に作用が発現し、作用は12時間~24時間程度持続するとされています。

また、その他に馴化(じゅんか)作用といって、普段受ける刺激に対して慣れが生じる作用を有します(ラット・マウスに対する動物実験で確認された作用)。つまり、ロラゼパムを服用することで例えば不安を感じる原因(会社の上司からの叱責や環境騒音など)対して慣れが生じ、過剰な不安などを抱きにくくなるという作用を有します。

ロラゼパムの服用方法について

ロラゼパムは0.5mg錠と1.0mg錠が販売されており、通常1〜3mgを2〜3回に分けて服用しますが、患者さんの症状・状態によって適宜増減します。65歳以上の高齢者の場合、健康成人と比べて肝機能や腎機能が弱っていることが多く、体内にお薬が留まりやすい傾向があるため少量から慎重に開始します。

また、2019年に新たに販売された静脈注射用のロラゼパム(商品名:ロラピタ)は、ロラゼパムが有する筋弛緩作用を利用し、筋肉が緊張することで生じるけいれんに適応を持つお薬になります。日本では最近の販売になりましたが、外国では1976年と古くから販売されていました。このお薬は静脈注射用であるため患者さん自ら使用するお薬ではなく、医療スタッフにより投与されます。

ロラゼパムの注意点について

ロラゼパムに関して報告されている主な副作用は以下の通りです。

  • 眠気:6.9%
  • ふらつき、めまい、立ちくらみ:3.2%
  • 口喝(口の中が渇く):0.7%

上記の副作用以外にも、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるため、ロラゼパムの服用期間中は危険を伴う自動車など運転は行ってはいけません。また、お酒を飲むと、ロラゼパムの作用や副作用が増強されることが知られているため注意が必要です。

患者さんの症状は不安が強い方や不眠の方、肩こり腰痛など様々です。ロラゼパムは抗不安、催眠、筋弛緩作用という複数の作用を持ち合わせているため患者さんの症状によっては必要とされない作用もあります。もちろん患者さんの症状に合わせて医師が最適なお薬を選択しますが、それぞれの症状は常に変動するため、時にお薬の作用が副作用として現れることがあります。また、ロラゼパムやその他のベンゾジアゼピン系のお薬は長期的に使用すると依存性や離脱症状など重い副作用が発現することがあります。患者さん自身の判断で服用中止や服用量の増減はとても危険なため、お薬の服用中に何かしら好ましくない作用が生じた場合はすぐに医師・薬剤師に相談するようにしてください。

服用できない/注意が必要な患者さん

65歳以上の高齢者の方や、妊婦/授乳中の患者さんは少量から開始するなど慎重な投与が必要です。特に妊婦/授乳中の患者さんにおいては、胎児や母乳へお薬が移行することが知られています。妊婦が他のベンゾジアゼピン系のお薬を服用したことにより、生まれてきた新生児に奇形が認められたという報告もあります。また、母乳を介して新生児に対して重い副作用が発現したケースもあるため授乳中にロラゼパムを服用した場合は授乳を避けるようにしてください。

また、以下の患者さんはロラゼパムを服用できないとされています。

  • 緑内障の患者さん
  • 重症筋無力症の患者さん

その他にも、ロラゼパム以外に何か服用しているお薬がある場合は、ロラゼパムとの相互作用を確認する必要があるため、そのような場合はかかりつけの医師・薬剤師に相談してください。