発達障害支援センターとは?column

Update:2022.07.11

発達障害支援センターとは?

目次

発達障害支援センターとは?サービス内容や対象者について

発達障害支援センターは、発達障害の早期発見や早期支援を目的とした専門機関です。発達障害のある人だけではなく、その家族に対してもアドバイスを行い、日常生活をサポートする施設です。

「もしかしたら自分は発達障害かもしれない」「子どもが発達障害かもしれない」「職場内に発達障害者がいて、どう関わったらいいのか分からない」などの様々な悩みがあるでしょう。

このような発達障害について相談をしたいと思っている場合は、発達障害者支援センターに相談してみることがおすすめです。

ここでは、発達障害者支援センターの概要や利用方法、支援内容などを解説します。

1.発達障害支援センターとは

発達障害支援センターとは、発達障害者(児)に対して総合的な支援を行うことを目的として、各都道府県・指令都市に設置された専門機関です。運営機関は、都道府県知事が指定した社会福祉法人や特定非営利活動法人となります。

基本的に、利用できる対象者は、センターが設置されている都道府県に住んでいる発達障害者と家族、その関係者です。発達障害とは、主に次のような障害を示しています。

  • 自閉症スペクトラム障害(ASD)
  • 広汎性発達障害
  • 学習障害
  • 注意欠陥多動性障害(ADHD)

発達障害者(児)と家族が、豊かに日常生活を送れるように、保健・医療・福祉・教育・労働などの関係機関と連携してサポートします。総合的に支援ネットワークを構築し、本人と家族からの相談支援やサポート、就労支援など様々な相談と支援、指導を行っている専門機関です。

在籍している専門職員には、社会福祉士や臨床心理士、言語聴覚士、精神保健福祉士、医師などがいます。在籍職員は、センターごとで異なることを知っておきましょう。

発達障害者支援センターは、発達障害者支援法によって指定された機関です。運営の目的は、次のように示されています。

発達障害児者に対する支援を総合的に行う地域の拠点として、発達障害に関する様々な問題について発達障害児者及びその家族からの相談に応じ、適切な指導又は助言を行うとともに、関係機関等と連携して発達障害児者に対する地域における総合的な支援体制(以下「地域支援体制」という。)の整備を推進することにより、発達障害児者及びその家族の福祉の向上を図ること

(引用:平成29年3月 厚生労働省アフターサービス推進室『発達障害者支援センター運営事業における新たな支援のあり方に関する調査』

対象年齢はセンターごとに異なっており、子どもから大人までを対象としているセンター、大人だけを対象としているセンターなど様々です。利用時には、お住まいの地域にあるセンターにお問い合わせしてください。

2.発達障害支援センターで受けられる支援内容

発達障害支援センターで受けられる支援には、「相談支援」「発達支援」「就労支援」「普及啓発・研修」の4つがあります。支援の柱は4つですが、相談の対象や内容はセンターによって異なる場合があるため、事前に当該センターに連絡してみることをおすすめします。

①相談支援

発達障害について、障害の当事者やその家族であれば様々なことを相談できます。学校や職場の関係者でも、相談ができます。人によって、日常生活における生きづらさが異なるため、適切な支援を受けるためには一度ご相談することがおすすめです。

例えば、「周りの人と馴染めない」「コミュニケーションがうまくいかない」「集中力が保てない」「文字を書けない、読めない」など、様々な困りごとを相談できます。

センターによっては、日常生活の困りごと以外にも発達障害への関わり方やコミュニケーションの取り方など、困りごとへの対処法の相談にも対応しています。

相談内容によっては、相談に乗るだけではなく、医療や福祉、教育機関などの個々に合った関係機関を紹介することもあります。

②発達支援

発達障害の本人やその家族、学校や職場の関係者に対する発達支援の相談に応じ、家庭や学校、職場での療育・サポート面のアドバイスを行います。

必要であれば、発達検査を実施したり、発達障害の程度に応じた個別の支援計画を作成・助言することも可能です。

例えば、知能検査や生活スキルについての発達検査を行い、日常生活における得意・不得意を明確にすることができます。そして、その人にとってどのような場面で困りごとが起きるのかなど課題を整理していきます。

このように、課題を確認することで適したサポートを提供できる特徴があります。

必要なサポートが受けられるように、医療機関や児童相談所などと連携し、個々に合った具体的な支援計画を作成することが可能です。

③就労支援

発達障害があっても、就労は可能です。そのため、就労を希望する障害者に対して、就労相談から支援を行っています。必要に応じて、ハローワークや障害者就労センターなどの労働機関と連携し、スムーズに就労できるようサポートします。

また、発達障害者が就労する際に必要となる情報提供や、スタッフが学校先や就労先に出向いて障害者受け入れを深めるためにアドバイスをすることも可能です。作業工程や環境の調整もしています。

④普及啓発・研修

発達障害を多くの方に正しく理解してもらうために、地域住民に向けた講演会を開催することもあります。発達障害の特性や対応方法など、より詳しく分かりやすいパンフレットやチラシを作成します。

それらを保健、医療、福祉、教育、労働の分野だけではなく、交通や消防、警察などの公共機関や一般企業などに配布し、より多くの方が目に留まるように普及活動を行っています。

また、発達障害への理解を深めるために、研修を行うこともあります。

3.発達障害支援センターの利用方法

発達障害支援センターの利用方法として、一般的な流れは次のとおりです。

  1. 窓口に相談
  2. 支援内容を決定
  3. 関係機関の連携

まずはお住まいの地域にある、発達障害支援センターの窓口に相談してみましょう。相談に行けるのは、本人やご家族、職場や学校で発達障害者に関わる者であれば、どなたでも相談が受けられます。相談のために来所される場合は、お一人ひとりに十分な時間を確保するために、予約が必要なセンターが多いでしょう。

そのため、事前に連絡して予約をすることがおすすめです。実際の相談では、どのようなことに困っており、どのようなサポートが必要なのかなど詳しい内容を相談しましょう。

相談内容から、支援内容を決定していきます。発達障害の検査や診断が必要な場合もありますが、ほとんどの発達障害支援センターでは診断を受けることができません。そのため、専門機関を紹介してもらい、診断を受けることになります。

支援内容が決定したら、具体的な支援計画を立てていきます。障害者支援施設や児童発達支援の関係施設、医療機関、児童相談所、学校、企業などと連携を図ることになります。

4.発達障害支援センターの窓口

発達障害支援センターを利用したい場合は、お住まいの地域にある都道府県、指定都市のセンターが窓口となっているため、利用してください。

利用する地域によって、各センターの事業内容は異なります。基本的な支援内容は上記に挙げた4つの柱で運営していますが、詳しい内容は発達障害支援センターの窓口にお問い合わせすることをおすすめします。

発達障害支援センターの窓口は全国各地にありますが、お住まいの地域によっては県内に1ヵ所しかセンターが設置されていない場合もあります。

以下に、全国の発達障害支援センターの相談窓口についてまとめてあります。ぜひ、参考にしてみてください。

参考:国立障害者リハビリテーションセンター「発達障害者支援センター・一覧」

5.まとめ

発達障害支援センターは、発達障害がある場合のみに利用する専門機関というわけではありません。「もしかしたら発達障害かもしれない」というような、診断を受けていない状態であっても困りごとを抱えている場合は、その時点でセンターに相談されてもかまいません。

発達障害を疑ったときに、すぐに医療機関を受診することは敷居が高いと感じるでしょう。そこで、医療機関に受診する前に発達障害支援センターに相談してみると良いでしょう。

その後は、相談内容から適切な機関を紹介してもらうことが可能となります。

早くから支援を受けることで、その後の日常生活や社会生活において、困りごとや精神的な負担を軽減できることもあります。少しでも気になることがある場合は、医療機関に受診する他にも、発達障害支援センターにご相談する方法も考えてみましょう。